瀕死のアナーキー
TOKYO GHETTO Ⅲ
構成・演出 清水信臣
[…]冗談じゃない われらの鼻を出る息は煙りにすぎず センゴゴジュウネン 冗談じゃない からだは灰となり ボクの国はずっとセンソウをしている 心は薄い空気のごとく消え失せ 朝鮮でベトナムで湾岸でずっとずっとやってるんだ 言葉は心の発したつかの間の火花さながらであれば それはホントウ 雲の影のごとく過ぎゆきて溶け去るだろう アタシたちがある日別れること アナタハアタシと暮らしたことを忘れる 目を閉じて海に飛び込み水の中で抱擁したことも 太陽のいっぱいあたった原っぱでお花の王冠を編んでくれたことも ごきぶりのいっぱいいた幸せのあの部屋も アナタは忘却する 霧が日の光に追われて その熱に打ち負かされるように なぜなら時は過ぎゆく影さながら 終わりから引き返すことはかなわない なぜなら終わりは封印され 何びともそこから戻っては来ないのだから […]二〇世紀 おびただしいスローガンと おびただしい デマゴーグと 無根拠と非意味と決断と接触と交差と脱臼と分割と共有とCommand(指揮)とControl(管制)とCommunication(伝達)とIntelligence(情報)とつまりはC3Iとカジノエコノミーと「血と大地」とと・と・と・と・ととととと∞ひたすら結果を待つひたすら「終わり」を期待しつづける みんな飽き飽きしていたんだ 埃のような無限に多い小さな出来事 泡のような行動 見せかけの行為 個性的な意見 多種多様なそれら「差異」 できることならボクたちは「唯一」の時代に帰りたい きっと そう願っていたのだ […]「唯一」の躍動が「力の意志」に寄生する 「勝負の復活」が世界を覆う みずから望んだ憶えもない荒々しさに耐えて ぶっ壊れてんだよ なんてこった エアコンが なんて寒いんだなんて暑いんだなんて生活なんだなんて恐ろしいんだ スタジアムは満員だ 恐怖は無差別だ すべてははじめから罠にはまっている アナタハ生キルコトヨリ生キ延ビルコトヲ欲ッシ ひとでなし ごうとう しょうわる ア ア ワレ 我 ア ア ア アワレ 哀れ 人間は十八世紀末に誕生した 人間 それはわずか二百年前ヨーロッパに誕生したのだった 奴隷の思想とその体現 保障なんかいらないよアタシ イチキュウキュウナナ 春 上野でオトコを待っていたら ホントウの戦争がやってきた 醒めよ 新しきアジアのクローン人間 水晶の夜に クリスタルナハト イン 東京ゲットー レイシストたちが劇場にやってくる 眼差しの砂漠にやってくる[…]
上演ノートより
- 出演/ Performers
- 熊本賢治郎
- 日野昼子
- 中嶋みゆき
- 丸岡ひろみ
- 飯田幸司
- 小杉佳子
- 森山雅子
- 高田美穂
- 野元良子
- 山形美津子
- STAFF
- 舞台監督/ 飯田幸司
- 照明/長谷川和弘
- 音響・映像/秦 岳志
- 舞台写真/宮内 勝
- 宣伝美術/Studio Terry
- 制作/丸岡ひろみ
- 主催
- 劇団解体社
- 助成
- 芸術文化振興基金