民族紛争、少数部族の対立、飢餓の増大、難民の流出、冷戦後の世界はまるで粉々に砕け散った鏡のようです。現在、演劇の前衛に求められているものは、まさにこの「ポスト植民地時代」に対応する新たな演技論の構築であるかと思います。俳優という存在こそ、この時代のアポリアを、剥き出しの「関係性」のただなかで生きざるをえない生々しい実態だからです。
 私たちは80年代後半から、野外空間を公演場所に選び、駅や公園また路上などでの上演を通してこの課題に取り組み始めました。それら野外での実践的模索は、93年、東京本郷の小空間に拠点を移した後も継続して探求され、「彫像態」「歩行態」「闘技態」などと名付けられた独自な演技様式として結実したのです。端的にいえばそれらは、それぞれの俳優が個人的に負っている肉体—風土に屈し、街に監視され、生活史に抑圧された結果としての肉体—から、俳優各人の真に固有の〈実存的身振り〉を抽出したものであるといえるかと思います。それはまた、群れて勇ましい現代のもろもろの世界観に対抗する等身大の俳優の「個体化の栄光」なのだと考えるものです。

清水信臣
パンフレットより

THE DOG ー異郷の子らー

People in a foreign land

July 24-25, 30-31, August 1, 6-8, 1993
@ Hongo DOK, Tokyo/本郷ドック

構成・演出 清水信臣

出演/ Performers
大信典明
萩中稔
熊本賢治郎
日野昼子
丸岡ひろみ
中嶋みゆき
飯田幸司
小杉佳子
森山雅子
高田美穂
野元良子
上田由美子
山形美津子

STAFF
舞台監督/ 飯田幸司
照明/長谷川和弘
音楽/成井輝光
音響・映像/秦 岳志
舞台写真/宮内 勝
宣伝美術/Studio Terry
制作/丸岡ひろみ
主催
劇団解体社

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