【遊行の景色―「移動演劇」シリーズ】
解体社が80年代から90年代初めに発表してきた一連の上演形態。本作は10本目にあたる。それらはおもに河原、公園、駅、路上、廃屋およびこれら公演会場一帯の屋内外で上演され、観客席を固定せず、一つの公演で上演場所を次々と変えていきながら、ときとして観客とともに上演空間をさまよい、移動しながら、たがいの「身体」を「メディア(媒体)化」していく試みを指す。

「身体の演劇」を標榜し、国際的な活動を続ける劇団解体社と、各分野での先鋭的な活動で知られるオーストラリアの6名のアーティスト。戦争がもはや遠い世界の出来事ではなくなった、今という時代への応答としての〈移動演劇〉が、オーストラリア大使館の特徴的な現代建築と、桜の花咲く庭園を舞台に繰り広げられます。

日豪国際コラボレーション作品
Australia-Japan Intercultural Collaboration Project

遊行の景色 X ―戦争身体―
The Drifting View X: Bodies of War

3.27ー29 @オーストラリア大使館/Australian Embassy, Tokyo
構成・演出 清水信臣/Shimizu Shinjin

わたしのいう「戦争身体」とは、ほかならぬわたしたちのこの「身体」が戦争によって見いだされてきたことを表しているのだが、それはまず「人間」によって、「人間」と「身体」が区別されることから始まる。つまり「身体」は「人間」ではないということだ。「人間」は「身体」を「人間」よりも劣位に置き、かつこれを、このままでは生きるにあたいしない野蛮な動物のようなものとみなす。「人間」はいう、「身体」は放っておけば何をしでかすかわからない、だから啓蒙によってこれを「人間」へと導くのだ、と。まさにこのような啓蒙の果てが「戦争の世紀」を生み出したのであると考えるなら、「戦争身体」は、「身体」をこのように考える「人間」へのひとつの応答であり、あくまでこの関係においてのみ生起する幻影なのである。
 それは見えない、つまり「戦争身体」は戦争を表象することができない、もとよりそれは不可能なのである。「人間」である限り「身体」を見ることはできないからだ。そして通常、わたしたち観客は「人間」である。
 「9.11 同時多発テロ事件」は、おそらくこの「人間」と「身体」の区別そのものが、あとかたもなく破砕され、かつ両者が合一したことを意味している。「人間身体」の誕生ーそれは「グローバル化された戦争身体」の全面的な出現にほかならない。

出演/ Performers
熊本賢治郎/KUMAMOTO Kenjiro
日野昼子/HINO Hiruko
中嶋みゆき/NAKAJIMA Miyuki
浦添尚文/URASOE Hisafumi
青田玲子/AOTA Reiko
延増靜美/ENSO Kiyomi
五嶋久美子/GOTO Kumiko
Jeff STEIN (Sydney)
Denis BEAUBOIS (Sydney)
Bronwyn TURNBULL (Sydney)
Simon HALL (Melbourne)
Adam BROINOWSKI (Melbourne)
Madz Mazanti JENSEN (Denmark)
音楽(ライブ)/ Music
Oren AMBARCHI (Sydney)

スタッフ/ Staff
[舞台監督/Stage Manager]三津久/MITSU Hisashi
[照明/Lighting]河合直樹〈(有)アンビル〉/KAWAI Naoki
[音響/Sound]落合敏行/OCHIAI Toshiyuki
[宣伝美術/Flyer Design]STUDIO TERRY "overground"
制作/Producer
秦 岳志/HATA Takeshi
主催
劇団解体社/Gekidan KAITAISHA
共催
オーストラリア大使館
Australian Embassy, Tokyo
助成/ Support
文化庁・日本芸術文化振興会 舞台芸術振興事業
Australia Council
NSW Ministry of the Arts
This project has been assisted by Arts Plan 21, NSW Ministry for the Arts and the Commonwealth Government through the Australia Council, its arts funding and advisory body.

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